第43回世界連邦平和促進全国宗教者・信仰者 京都大会(主催:世界連邦日本宗教委員会)が上京区の北野天満宮で行なわれ、東教会長はじめ支部長ら30名が参加しました。今回の大会テーマは「戦争と平和」-なぜ人類は戦争を止めないのか-と題し、午前10時30分から本殿において世界平和の祈りを行ないました。そこでは仏教、神道、新宗教などさまざまな宗教者・信仰者が順番に祈りを捧げる姿がありました。
その後、会場を風月殿に移し、昼食をはさんで特別講演が元国際連合事務総長特別代表の山本忠通氏により行なわれました。演題は『国際社会の置かれている厳しい現状と課題』。現在の世界各地の紛争の原因はさまざまであり、物事の根本が解決しない限り紛争は終わらないとし、国際問題が難しくなってきていることや国連が機能していないと言われていることにも触れ、国連の改革が必要であることの理由として、拒否権を持つ主要国自身が、①国際法無視、②武力行使、③ダブルスタンダードであると述べました。
そもそも、なぜ人々は戦うのか、動物は生きるために(食を得るために)相手を殺すが人間は相手を殲滅するために殺すとしながら、戦う理由は①経済対立などの利害によるもの、②信条、考え方の違いによるもの、③誇りを傷つけられたことによるものと解説。動物であればしっぽを巻いて逃げるところが人間は戦ってしまうと説明し、もし日本が占領されて違う信条を押し付けられたらあなたはどうする?従うか戦うか?との問いに参加者も考えさせられました。つまり、人類から戦いがなくならないと結論付けました。戦いがなくならないならどうすればいいかと山本氏は過去の実務経験から、戦いがより悲惨なものにならないようにすること、戦いの結果を悲惨なものにしないことや、どうすれば戦いにならないように予防できるか、そのための方策と制度が大切であると述べました。
第一次大戦後、国際連盟が創設されましたがアメリカとロシア(当時はソ連)が加盟していなかったことや実効性の問題から第二次大戦後に国際連合が創設。5大大国に拒否権が設けられましたが、これが昨今問題視されていると解説しました。過去において国際連合はPKO派遣も行いましたが、平和維持活動では平和にならず、政治活動でも平和にならなかった中、日本は国際社会の中でどうするか、日本の今後について『自分たちの特質と経験を活かすこと』とし、日本は二流国から一流国になれたことを活かしていくことが出来ると述べました。つまり、日本はアメリカと中国の文化を吸収しているが、途上国の多くは中国を中心とした制度を好む傾向があり、現在の国際社会はアメリカを中心とした制度であって、日本は途上国の気持ちが分かる国だとしました。
そして私たちは日々の生活の中で、尊敬・理解・多様性の尊重が大事としながらも日本人は多様性の尊重が苦手で自分と違うと差別してしまう癖があるとし、区別にとどめるべきと語り、また男女平等の解釈も違いを認め役割が異なると述べました。女性の特質として、決めたことが実行出来るかを日頃の生活の中で感じ取っておられるのではないかと推察しながら、過去の国際紛争解決に女性が入ると再び紛争に戻ることがないと振り返りました。
講演の最後に「幸せな生活が出来ることが平和です」と答えた学生がいたことにふれ、争いの根本は心の問題であり、それは教育と宗教が大切だと結びました。
その後、大会宣言文が採択され本大会は終了となりました。参加者からは、能力の違いを知ることの大切さ、相手への理解や多様性の尊重、教育と宗教の大切さを学ぶことが出来たと感想がありました。
大会後は境内の宝物殿企画展の拝観や史跡御土居のもみじ苑の散策を行ない、お茶菓子をよばれ満足した様子でした。